異なる精製方法を用いて、この土地ならではの風味を引き出す
文/高郁淳

コーヒーの木は、1粒の種から大きな木になるまでに約2〜3年かかります。およそ3年ほど経った木は、果実を実らせる能力を持つようになります。なお、収穫時期は標高や緯度によって異なりますが、鹿篙の環境では収穫期は毎年10月から翌年2月頃にかけて行われます。その期間、農家は1〜2週間を1サイクルとして果実を摘み取り、翌年2月までこの作業を繰り返します。果実の熟度を考慮し、基本的には少なくとも8〜9割熟した果実を摘み取り、その後の加工(精製)に進めます。
樹になった鮮やかな赤色のコーヒーの実は、どのようにしてコーヒー豆になるのでしょうか。コーヒーチェリーを水分含量9〜12%まで乾燥させた「パーチメントコーヒー」にする過程を、私たちは「精製」と呼びます。精製には大きく分けて「天日乾燥(ナチュラル)」「水洗(ウォッシュト)」「ハニープロセス」の3種類があり、それぞれ特徴があります。
過去にさまざまな精製が開発されたのは、環境の違いに対応するためです。水資源が豊富な国ではウォッシュトが多く採用されますが、水が少なく乾燥した環境ではハニープロセスやナチュラルが主流です。また、資源が十分であれば、顧客の購入ニーズに合わせて精製を選ぶこともあります。

ナチュラル(Natural)
「天然」「無加工」を意味し、収穫した果実をそのまま乾燥させ、水分含量が9〜12%になるまで仕上げる方法です。この方法では果皮・果肉・ミューシレージを残したまま乾燥するため、風味がより豊かになります。

ハニープロセス(Honey Process)
まずコーヒーチェリーの果皮を取り除き、果肉を覆う粘質物(ミューシレージ)を残したまま乾燥させます。ミューシレージにはもともと甘みがあり、乾燥すると表面がベタベタして蜂蜜のようになることから、海外では「Honey Process」と呼ばれ、台湾では「蜜處理」と呼ばれています。

ウォッシュト (Washed)
コーヒーチェリーは収穫後に外皮を除去し、発酵の過程でミューシレージ(果肉の粘質物)を分解・除去します。その後、水でしっかり洗い流す処理を行います。この工程を経て仕上がった豆を「ウォッシュトコーヒー(水洗豆)」と呼びます。


鹿篙(ルガオ)には10ヘクタール以上のコーヒー園が広がっており、それぞれの農家が好みの品種を栽培し、また精製に対しても独自の考え方を持っています。精製に「正解」はありませんが、一般的には品種の特徴に合わせた方法を選び、その結果として唯一無二の風味が生まれます。
鹿篙でよく見られる3大品種と3大処理法を例にすると、たとえばティピカをナチュラル処理、SL34をハニープロセス、ゲイシャをウォッシュトにするという選択が考えられます。では、なぜこのような組み合わせが選ばれるのでしょうか。
ティピカはもともと穏やかな風味を持っており、ナチュラル処理を施すことで風味に豊かさと立体感が加わります。
SL34はミューシレージが非常に濃厚で、それを残して乾燥させることで、ホワイト/イエローハニーなら明るい酸味と繊細で重層的な味わいを、レッド/ブラックハニーなら蜜漬け果実を思わせる濃厚さと奥行きを持ち、特に甘さが際立ちます。仕上がりで甘さをしっかりと出すことができれば満点です。
ゲイシャはというと、豆そのものが強いフローラルな香りを備えており、その魅力を際立たせるには、透明感と軽やかさを生むウォッシュトが最適です。
こうした選択は個人的な好みに基づく部分もありますが、実際には経験に裏打ちされた理由があるのです。
鹿篙は台湾の紅茶の故郷であり、コーヒー産業もこの地で20年以上の歳月をかけて育まれてきました。海外に比べれば歴史はまだ浅いものの、長年の積み重ねによって農家は年々進歩を遂げ、ついに日月潭(リーユエタン)のスペシャルティコーヒーが広く認められるようになりました。
次に鹿篙を訪れる機会があれば、ぜひ一杯のコーヒーを味わい、この土地ならではのテロワールを感じてみてください。